DNAコンピューター 2020 8 9
書名 生命はデジタルでできている
著者 田口 善弘 ブルーバックス
今、コンピューターのCPUは、限界にきていると思います。
高速化すればするほど、熱の発生は膨大なものとなります。
実は、CPUの熱で目玉焼きができると言われるほど高熱となりますので、
CPUクーラーで冷却しています。
一方、プロセスルールの微細化も限界にきていると思います。
多くのメーカーで「10nm」(10ナノメートル)に苦戦しています。
そこで、発想を変えて、DNAでコンピューターの頭脳を作れないか。
実は、DNAは、意外に丈夫にできています。
RNAは壊れやすいですが、
DNAは丈夫なので、これでCPUは作れないか。
さて、今のコンピューターは、
デジタル方式、つまり2進法で動いています。
2進法とは、物事を「0」と「1」で表現するということです。
たとえば、「01000111 01000011 01010101」は、
人間にわかる言葉に変換すると、「GCU」です。
ところで、「CGACACGAGCCAAGTGCCCTC」は、何かの暗号に見えますが、
実は、DNAの配列を表現しています。
これをmRNAに変換すると、「GCUGUGCUCGGUUCACGGGAG」となります。
さらに、これを3桁に区切ると、わかりやすくなります。
「GCU GUG CUC GGU UCA CGG GAG」
「GCU」は、アミノ酸の「アラニン」、
「GUG」は、「バリン」、
「CUC」は、「ロイシン」、
「GGU」は、「グリシン」、
「UCA」は、「セリン」、
「CGG」は、「アルギニン」、
「GAG」は、「グルタミン酸」となります。
タンパク質とは、アミノ酸をつなげたものです(タンパク質の一次構造)。
ここでは、一列につなげると、
アラニン・バリン・ロイシン・グリシン・セリン・アルギニン・グルタミン酸となります。
DNAは、たんぱく質の設計図や記憶装置と言えるでしょう。
そういうわけで、一足飛びに、DNAを使ってCPUを作るとはならないかもしれませんが、
少なくともメモリ(記憶装置)にはなりそうです。
将来は、生物のコンピューターができそうです。